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通巻162号(Vol.41-No.3)◇読みどころ


 
【読みどころ・その1】p46~53
読みどころ新しい方剤分類と方意の作成に向けて。
【新・方剤学】“散”の治法:和解剤(加島雅之)

新しい“方剤分類と方意”の作成に向けて続く好評の連載。今回から和解剤に入る。取り上げるのは,(1)疏散上焦・透表(和解少陽),(2)疏散血熱,(3)調和肝脾(疏肝解鬱・健脾和胃)の働きを持つ小柴胡湯,さらに(1)疏散上焦・陰陽調和・解表,(2)疏肝解鬱・補肺寧神の働きを持つ柴胡桂枝乾姜湯,そして(1)疏散上焦・平衡鎮心,(2)重鎮安神・疏肝解鬱・潜陽・清熱除煩の働きを持つ柴胡加竜骨牡蛎湯の3方剤。各方剤の主治・病機・効能・方意だけでなく,臨床上の要点,口訣,注意事項,基本加減方・類縁方剤なども記す。



  【読みどころ・その2】p72~79
読みどころ江西の傷寒派・蒋小敏教授に聞く。
【インタビュー】寒温統一の継承(蒋小敏)

江西省出身の傷寒大家といえば,明末から清初に活躍した錯簡重訂派に列せられる喩嘉言がよく知られているが,近代では傷寒と温病の統一をはかった「寒温統一論」の提唱者・万友生がいる。傷寒と温病の論争は長きにわたるが,現代の中国では両者は対立するものというより,温病は傷寒の延長にあり,傷寒の不足を補うものとする見方が有力である。現在,この寒温統一の系譜を継ぐのが江西省中医院の蒋小敏教授だ。その蒋教授が師事した陳瑞春先生が万先生の学術を継承した弟子にあたる。記事では蒋教授の難治性発熱の治療経験についても紹介する。



  【読みどころ・その3】p84~90
読みどころ新型コロナの治療ポイント「膜原」の理論と臨床意義。
【特別寄稿】膜原の淵源および理論と臨床(路京華)

新型コロナの中医治療を考えるうえで,カギの一つとなるのが膜原の理論だ。膜原の説は『黄帝内経』より始まるが,本書は一人の手によって成ったものではないため,章篇によってその概念や所在部位の表現は一致していない。また多くの医家が注釈を著しているがその見解や認識も異なっている。そこで,本稿では膜原の淵源に立ち返り,関連文献を集め,理論と臨床の両面から膜原の部位・病理表現・弁証証型・選方用薬・三焦との関係などについて説明する。新型コロナでは膜原に留まる湿熱邪を清解する達原飲や三消飲の理解が欠かせない。



  【読みどころ・その4】p142~143
読みどころ経脈の臨床意義を明らかにした興味深い研究。
【鍼灸百話】鎮痛効果の関与は末梢神経か,経絡か?(篠原昭二)

経脈の臨床意義を明らかにした大学院生が行った研究の概要を紹介。本研究は,手小指伸筋の遅発性筋痛を手太陽経筋病モデルとして作製し,腋門穴(手少陽三焦経)と後渓穴(手太陽小腸経)刺激による鎮痛効果を比較したものである。結果は,後渓穴において有意な鎮痛効果が得られたが,腋門穴では鎮痛効果は得られなかった。これは,両穴とも尺骨神経という同一の末梢神経上の経穴でありながら,鎮痛効果に差が生じたもので,経脈の臨床意義を支持するものとして非常に興味深い研究だといえる。



中医臨床 通巻162号(Vol.41-No.3)特別企画/わが国における新型コロナと漢方

『中医臨床』通巻162号(Vol.41-No.3)より


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