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通巻161号(Vol.41-No.2)◇読みどころ


 
【読みどころ・その1】p32~37
読みどころ新型コロナに対する中医学のもう一つの見方。
【論考】感冒門攷(加島雅之)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対し,中医学では傷寒や温病の観点で語られることが多いが,傷寒や温病が提示する病型のように初期症状から激しい,いかにも重症ウイルス性疾患の症状ではないのが今回のCOVID-19の特徴である。多くは,初期は非常に軽微なカゼ症状から発症し,そのうちの2割程度が段階的に症状の悪化を迎えるという経過を辿る。それに対し,歴代の処方集のなかに,なぜカゼ症候群に相当する感冒の治療を専門に扱う「感冒門」が存在しているのか長年疑問に思っていた加島先生が,COVID-19の流行拡大に際し,いま一度感冒門を振り返り,治療のヒントを探る。



  【読みどころ・その2】p75~79
読みどころ中国における中医学をめぐる国の政策を読む。
【特別寄稿】21世紀以降の中国の中医薬政策をめぐる社会的背景
 (宮内雄史)


2000年以降,中国では,「中医薬条例」(2003年),「若干の意見」(2009年),「規画綱要」(2016年),「中医薬法」(2016年)と,中医学をめぐる政策や規定が著された文書が出されている。中医薬部門の範囲にとどまった「若干の意見」から,国家政策・戦略における中医学の位置付けが示されることになった「規画綱要」へ。中医学領域にとどまる規定であった「中医薬条例」から,国家的法律となった「中医薬法」へと大きく変貌をとげている。それらの背景となる中国社会の動きを見ていくことで,今後の動向を理解する助けとなるはずだ。中国社会の生活水準向上,中国経済のグローバル化,中国の人材事情,中国政治のリーダーシップの4点から見ていく。



  【読みどころ・その3】p80~89
読みどころ薬局経営に中医学を縦横に活かす。
【ニッポンの漢方薬局を訪ねる】
 多くの縁が結んだ中医学 東京・本郷に根をはる
 (今井太郎/猪越英明)


地下鉄・後楽園駅,JR・水道橋駅からほど近い,文京区本郷にある漢方専門・後楽堂薬局。この地で生まれ育った今井太郎先生が,北京中医薬大学提携の北京厚済薬局を受け継ぎ,2013年に開局した薬局だ。中医学の知識の深さはもちろん,日本漢方や西洋医学もしっかりと押さえながら,相談に訪れた方に寄り添い,丁寧に話しに耳を傾ける。東西薬局代表・猪越英明先生が話をうかがう。さらに,今井先生が経験した,乾癬性関節炎・蕁麻疹・胃酸過多・子宮頸部高度異形性または上皮内がんの疑いといった4つの症例も紹介する。



  【読みどころ・その4】p100~101
読みどころ中国におけるCOVID-19の回復期の対策。
【未病を治す知恵】新型コロナウイルス感染症 回復期への取り組み
 (藤田康介)


COVID-19の治療の全過程で中医学は介入しているが,退院後の回復期においても中医学の特色ある治療法が活かされている。回復期患者では,呼吸機能障害として咳・痰・呼吸困難・運動後の息切れ・肺機能低下など,身体機能障害として全身の倦怠感・疲れやすい・筋肉痛・筋肉の萎縮・筋力低下,心理的な問題として恐怖感・焦燥感・抑圧感・怒りなどがあげられている。なかには肉体的・精神的なダメージから仕事に復帰できないなど,日常生活を正常に送れない人もおり,リハビリの重要性が指摘されている。中国政府は2月下旬に「COVID-19回復期中医康復指導建議」を,3月上旬には西洋医学的な見解も含め「新冠肺炎出院患者康復案」を発表している。治療方法も多岐にわたっており,中薬だけでなく鍼灸や太極拳,各種体操・経穴推拿・刮痧・抜罐・耳穴圧豆なども行われている。



中医臨床 通巻161号(Vol.41-No.2)特集/新型コロナウイルス感染症と中医学

『中医臨床』通巻161号(Vol.41-No.2)より


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