【読みどころ・その1】p2~9
| 「治未病」で挑む中国の中医。 |
【TOPICS】新型コロナウイルス感染症
中医はいかに立ち向かっているのか (編集部)
2019年12月に中国湖北省の武漢市で広がり始めた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。流行の拡大は世界中に広がり3月11日,WHOはパンデミックであると表明した。収束の見通しはたたず,社会生活の混乱が続いている。そんななか中医学はどうしていたのか? じつは最初の発生が確認され多くの犠牲者を出している中国では,予防,初期~重症期,そして回復期の治療まで,各ステージで中医学を組み込んだ対策が提案されており,実行に移されている。これは,中医学最大の持ち味である①未病先防,②已病防変,そして③治癒後の再発防止という「治未病」の考え方そのもので挑んでいることを現している。3月4日までの中国におけるCOVID-19の治療・予防に対する中医の取り組みを紹介する。
【読みどころ・その2】p10~19
| 膠原病に対する漢方。 |
【巻頭インタビュー】中西医結合の新たな可能性(滝沢健司)
1970年代以降,日本に現代中医学が導入されてから40~50年になろうとしている。現在の日本の臨床で中医学はどう活かされているのか。日本全国で中医学を実践する医師を『中医臨床』編集長が訪問して,「中医学との出合い」「中医学の魅力」「臨床応用の実際」などについて話をうかがい,日本の中医学の実態に迫る企画。第19回は,漢方・中医学に造詣が深く
『図解・表解 方剤学』(東洋学術出版社刊)の著書もある滝沢健司先生にお話をうかがう。滝沢先生は,一般内科で漢方を処方する一方,膠原病の専門家として中西医結合の形で治療も行っている。その経験から,西洋薬が引き起こす副作用を東洋医学的に捉え,漢方薬の効能を西洋医学的に捉えることで,漢方薬の可能性を探りたいと話す。
【読みどころ・その3】p94~105
| 漢方薬と鍼の両方をつかいこなす。 |
【ニッポンの漢方薬局を訪ねる】
漢方薬・鍼・心身相関の気づきを3つの柱に(橋本英信/猪越英明)
山口県の南西部に位置する山陽小野田市。仕事もせず毎日寝て暮らしていた男が,突然起き出して灌漑用水路をつくり,荒れた土地を豊かな水田に変えたという民話「三年寝太郎」発祥の地としても知られる。厚狭駅前には寝太郎の銅像が建ち,地元では荒れ地を開墾した英雄として讃えられている。えいしん堂薬局・えいしん堂薬局付属鍼灸院はそんな民話の故郷にある。薬剤師であり鍼灸師でもある橋本英信先生は漢方と鍼の両方を使いこなすが,最近は特に心と病気のつながりに着目して良好な結果を残しているという。東西薬局代表・猪越英明先生が話をうかがう。さらに慢性疼痛に対し鍼と漢方薬で著効した2症例も紹介する。
【読みどころ・その4】p134~140
| 新連載! 中医針灸独自の処方学を構築する。 |
【針灸処方学】対証処方① 解表方(渡邉大祐)
針灸の弁証論治とは理・法・方・穴・術の体系である。中医基礎理論にもとづき四診によって得た情報を分析し,中医診断をくだして治法(治療方法)を確定する。そしてこの治法に対応する治療穴を選び,どんなやり方で治療を行うか(針か灸か,どんな手技を用いるかなど)を確定する。この一連の流れが針灸の弁証論治である。このうち,すでに中医基礎理論・中医診断学・経絡経穴学・刺法灸法学・針灸治療学といった科目は整備されているが,実は針灸処方学のテキストがつくられたのはごく最近のことで,まだ確定したものがなく模索段階にある。そこで,針灸処方学テキストの必要性を唱える著者が,現代中医~古典医籍までを参照して,バランスの取れたテキストをつくるため,今回より対証処方・体位処方・対症処方の内容を連載する。中医方剤学とは異なる針灸独自の処方学の構築を目指す。
『中医臨床』通巻160号(Vol.41-No.1)より