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通巻152号(Vol.39-No.1)◇【訃報】土方康世先生



訃報

 『臨床に役立つ五行理論 ―慢性病の漢方治療』(東洋学術出版社)の著者・土方康世先生が2018年1月9日,逝去されました。享年75。
 
 土方先生は東洋堂土方医院(大阪府茨木市)で診療する傍ら,北摂中医学研究会やうめだ中医学勉強会などを主宰し,関西における中医学の発展と後進医師の育成に力を注いでこられました。『日本東洋医学雑誌』『漢方の臨床』『中医臨床』等に論文を精力的に投稿するだけでなく,米国や英国など海外雑誌へも投稿され,活躍の場は国内に留まりませんでした。
 
 五行をテーマにした本を出版したいという希望が当社に寄せられたのは,2011年中頃のことでした。
 「ある患者さんで相生を実感してから五行理論に注目するようになり,その後も難治例にこの理論を使うと治療がうまくいく例をたびたび経験しました」と,まっすぐな人柄そのままに,五行理論の面白さと臨床への応用価値を熱っぽく語られました。
 ただ,一般に空理空論と思われがちな五行理論にスポットを当て,臨床応用へつなごうと試みられた点は斬新でしたが,出版を二つ返事で引き受けたわけではなかったため,歯がゆい思いをされていたに違いありません。相談の結果,ひとまずその年12月の『中医臨床』(127号)から連載を走らせ,少しずつ内容を固めてゆくことにしました。
 また連載が大詰めを迎えた頃,「田川記念漢方研究会に出席して,和田東郭の『蕉窓雑話』を読んでいるのですが,この先生は中医用語こそ使わないものの,肝旺乗脾・肝反克肺・肝心同源などを臨床的によく観察されていて,すべて肝が絡んでいるという話が頻回に出てきます。日本漢方の大家が五行を駆使していたことはたいへん面白いことです」と話され,五行理論の探究はさらに江戸期の医家にまで広がってゆき,この内容の一部は一章を設けて本書に取り込ませていただきました。
 2015年6月,本書は二宮文乃先生と菅沼栄先生の推薦の序を付けて無事に上梓され,読者から一定の評価を得て,1年を俟たずに初版を売り切り増刷しました。
 
 2018年正月,頂戴した年賀状には「又 本を書いてみたいですね」と添え書きされており,次回作に向け一歩踏み出そうとされていた矢先,突然の訃報でした。ご冥福をお祈りいたします。(編集部 井ノ上匠)


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【略歴】
東洋堂土方医院 院長(大阪府茨木)
1942年生まれ
1965年大阪大学工学部発酵工学科卒業
1971年大阪大学工学部博士課程修了(工学博士)
1978年関西医科大学卒業
1984年医学博士
1980年東洋堂土方医院開設
著書に,『今日から実践 痛みの漢方治療』(医歯薬出版・2009),『RECENT ADVANCES IN THEORIES AND PRACTCE OF CHINESE MEDICINE』「Aplication of “Five Elements Theory”for Treating Diseasesin“Chinese Medicine”」(分担執筆 INTECHWEB .ORG Croatia 2011),『臨床に役立つ五行理論 ―慢性病の漢方治療』(東洋学術出版社・2015)がある。


(2018年3月)





中医臨床 通巻152号(Vol.39-No.1)特集/『金匱要略』を読もう


『中医臨床』通巻152号(Vol.39-No.1)掲載

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