【読みどころ・その1】p42~60
| 日本と中国の新型インフルエンザ治療の経験を交流。 |
[緊急企画] 新型インフルエンザ
2009年初夏から流行しているH1N1ウイルスによる新型インフルエンザは,従来の季節性インフルエンザとは異なった状況をみせている。
その最も大きな違いは,初発段階で温病型が非常に多いことと,症例によっては化熱・傷陰がきわめて早いスピードで進行し重症化してしまうことである。この原因がウイルスの違いによるものなのか,あるいは季節の違いによるものなのか判然としない。
問題解決をはかるため,「医学生のための漢方医学【臨床篇】」編集委員会のメンバーが広州へ飛び,広東省中医院の感染症専門家らと経験交流を行った。
【読みどころ・その2】 p34~40
| 中医学と日本漢方の対話から見えるもの。 |
中医学の魅力(平馬直樹)
「中医学の魅力とは何なのか」を問う,連続インタビュー企画の5回目。
古方派の特徴は「病毒の排除」と「方証相対」にある。
中医学の立場からみると,違和感を覚えることの多い古方派のやり方も,同じ中国伝統医学から生まれたものだから,十分解釈可能なものだと考えられるという。
日本漢方と対話することで,臨床のヒントがたくさん見つかるに違いない。
今号では,日本漢方の特徴を明らかにしながら,エキス剤漢方の応用についても話題が拡がった。
【読みどころ・その3】p68~72
| 難治性の「めまい」に苓桂朮甘湯合真武湯が著効。 |
[症例] 湿による「めまい」の検討(矢数芳英ほか)
痰飲の治療には,「痰飲を病むもの,まさに温薬をもってこれを和すべし」(『金匱要略』痰飲咳嗽病)という治療原則がある。本稿では痰飲(水湿)を除くのに必要な温陽薬とは何かについて考える。
脾腎陽虚をベースとした水湿停滞による「めまい」の症例を通して,陽虚裏寒の程度の違いによって使うべき温陽薬(桂枝vs附子)にどのような差があるのかについて考察する。
【読みどころ・その4】p132~149
| 「日本的中医針灸」確立へ,教科書から臨床へのステップアップ。 |
[針灸特集] 頭痛の針灸治療
教科書から臨床へのステップアップをテーマとした針灸特集,今回は頭痛を取り上げる。
教科書では,頭痛は外感と内傷の2つに分類され,外感性頭痛は風寒・風熱・風湿が頭部に侵入して経絡を阻滞するために起こり,内傷性頭痛は肝陽の亢進,痰濁,血瘀,腎虚,気血両虚が原因となって起こるとされる。
しかし実際の臨床では多くの証が複合して現れることも多く,適切に病態を把握することが求められる。本特集では,そのための方法論を示すほか,遠位循経選穴や吸玉療法についても紹介する。