【読みどころ・その1】 p36~42
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老中医の経験には中医学の魅力がつまっている。 |
中医学の魅力(平馬直樹)
「中医学の魅力とは何なのか」を問う,連続インタビュー企画の4回目。
平馬先生は「これまでに老中医たちが築いてきた遺産を継承してそれを発展させるところに道が拓けるのです。『継承なくして発展なし』と強く思います」と語る。中医学の魅力は老中医にあり,臨床力の向上には老中医の経験に学ぶことが必要だ。
今号では,かつて平馬先生が就いて学んだ路志正先生の臨床の様子や特徴を紹介しながら,老中医の魅力に迫る。特に平馬先生による路志正先生の医案解説は読み応え充分。
【読みどころ・その2】 p50~56
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中国の中医学 国家の強力な後押しを受けて発展加速。
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国務院 国をあげた中医学促進の方針を公表(藤田康介)
2009年4月,中国の中央政府にあたる国務院が,「中医薬事業発展の扶助促進に関する若干の意見」を発表した。
http://www.gov.cn/zwgk/2009-05/07/content_1307145.htm
国が積極的に介入して中医薬事業を発展させることを表明したもので,今後,中国において中医学がダイナミックに展開してゆくことが予想され,注目される。
「意見」では,中国において中医学が直面するさまざまな問題への対処や,今後目指すべき基本原則,果たすべき役割について述べられている。
今回,この「意見」にもとづき各地方レベルで政策発表されている現状を交えて,その全体像を紹介する。
*本記事の全文を掲載しました。→記事はこちら
【読みどころ・その3】 p140~141
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インフルエンザの治療は「正汗」がカギ。
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新型インフルエンザに備える(王玉光)
新型インフルエンザの世界的な流行が懸念されている。来るべき日に備え,中医薬はどのような役割を果たすことができるのか。
今回紹介するのは,北京中医薬大学東方医院の周平安教授の経験。インフルエンザの中医学的な理解,鑑別・治療方法を紹介する。
注目すべきは,全身にうっすらと汗をかく「正汗」だ。
西洋薬の発汗作用は強力で,正気を損傷しやすく,熱が変動しやすい。しかし中薬による「正汗」は,汗がゆっくりと緩やかに少しずつ出て,解熱後ぶり返すことは稀で,正気を消耗することも少ない。
【読みどころ・その4】 p126~132
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「日本的中医針灸」確立へ,教科書から臨床へのステップアップ。 |
難聴の針灸治療
中医針灸の真髄は弁証論治にある。しかし,整然と類型化された弁証と,臨床との間に乖離が生じていることが指摘される。こうした証の類型化は教育上たいへん有用だが,臨床の場に立ったとき,必ずしも教科書どおりにいかず戸惑うことが少なくない。教育を目的とした教科書から,臨床への橋渡しが必要だ。
そこで,今号より,教科書的な弁証論治をベースに,さらに臨床で効果を上げるために,どのような工夫や考え方をすればよいのかを,日頃,中医針灸を実践する臨床家の方々に披露していただく,新コーナーをスタートする。第1回目のテーマは難聴。
こうした臨床家の工夫が集積されてゆくことで,日本の中医針灸はさらに深まっていくはずだ。