【読みどころ・その1】 p36~42
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老中医の臨床とその魅力とは。 |
中医学の魅力(平馬直樹)
「中医学の魅力とは何なのか」を問う,連続インタビュー企画の3回目。
「老中医がいったいどこまで治しているのかを確かめるためには,もう少し長い期間,定点観察しなければいけないという思いがありました」と語る平馬先生は,1987年から1年半,北京の中医研究院広安門医院に留学された。そこでは,皮膚科の朱仁康老中医の臨床を見学したいという強い思いがあった。
今号では,平馬先生が就いて学んだ朱仁康老中医の臨床の様子や特徴を紹介しながら,老中医の魅力に迫る。
【読みどころ・その2】 p50~56
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痰熱証の治療では,化痰と養陰のバランスが肝要。
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中医診察ナビ 化痰と養陰を併用して痰熱証を治療する(丁元慶)
診察風景を再現し,難治性疾患の弁証論治の進め方を学ぶシリーズ。
今回は冠状動脈バイパス術後に発熱と冷えを訴えた患者の症例を取り上げて,痰熱証治療の実際をナビゲートする。
痰熱証に対しては,化痰するとともに,「痰を治療するにはまず気を治療する」という言葉があるように,気を調えることが大切で,さらに痰火によって傷ついた陰液を養陰することがポイントになる。化痰しながら傷陰に対処し,養陰しながら痰の発生を防ぐ,このバランスが肝要である。
【読みどころ・その3】 p140~141
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効果的なツボの運用には,局所・経絡・穴性の鑑別能力を高めることが大切。
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鍼灸百話 ツボの使い方(篠原昭二)
今号からスタートした,明治国際医療大学の篠原昭二先生による鍼灸コラム。
今回は風池穴を取り上げ,ツボの使い方についてお話いただいた。篠原先生は,ツボを上手に使いこなすには,その症状が,①局所的な異常として出現したものか,②経絡的な作用を介して出現したものか,③外感病によるものかなどをきちんと鑑別する能力を高めることが重要だと語る。
【読みどころ・その4】 p126~132
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穴性に代表される病性を重視した弁証論治の針の歴史は浅い。 |
針灸治療は病位に,中薬治療は病性にもとづく(譚源生)
病性に対する中医と針灸の対処方法を比較すれば,中医と針灸の弁証論治体系には大きな違いがあることがわかる。
中医は虚実・寒熱など病性を明らかにし,寒なら温薬,虚なら補益薬というふうに病性とは相反する薬を用いて治療しているが,『内経』のなかの針灸は,病性と相反する性質のツボを用いるのではなく,刺針のスピードや補瀉手技によって調節している。
さらに取穴の原則は病位にもとづいており,病性を重視する現在の弁証論治の針とは異なっていると指摘する。