【読みどころ・その1】 p30~36
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漢方を自在に操るために中医学を活かす。 |
中医学の魅力(平馬直樹)
「中医学の魅力とは何なのか」を問う,連続インタビュー企画の第2回目。
現在,医師の8割が漢方薬を処方しているといわれる。
これからは,どうすれば漢方薬のもつ力を最大限に引き出し,より上手に漢方薬を使いこなすことができるのか,その方法論が求められるだろう。
平馬直樹先生は,その方法論は中医学にあると強調し,「エキス剤でも薬味の理解が欠かせない」「方剤の理解を深めるためには中医学の知識が役に立つ」と話す。
漢方のエキスパートになるには,中医学を活かすことが必要だ。
【読みどころ・その2】 p68~72
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『傷寒論』を理解するためには, 六経の半表半裏の解釈がポイント。
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『傷寒論』の運用は,先ず六経を見極め,次いで適切な方証を選択(馮世綸)
3年ほど前から,『中国中医薬報』紙上で方証相対に関する論文が立て続けに発表されてきた。これまでほとんど取り上げられることのなかった方証相対を,いまなぜ中国は正面から論じ始めたのか。
弁証論治を現代中医学の柱としてきた中国で,方証相対を論じ,その理論的構築を意識し始めたことは興味深い。もしこれが進展すれば,中医学と日本古方派漢方とが対話するための格好のテーマとなるに違いない。
さまざまな観点から方証相対を取り上げる論者のなかで,ひときわ目立つ一人,馮世綸先生に話を聞いた。
【読みどころ・その3】 p113~124
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設立50周年を迎えた天津中医薬大学, さらに第1付属医院を取材。
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リポート&インタビュー 張伯礼学長・武連仲教授に聞く(編集部)
中国における技術分野の最高研究機関・中国工程院の院士であり,中医師養成機関・天津中医薬大学の学長という立場にある張伯礼教授から,中医学の基礎研究の動向と教育問題についてお聞きした。真に臨床力のある人材を養成するためには,「経典を読み,臨床経験を積む機会を増やすことが大切」と強調する。
第1付属医院は,石学敏院士の開発した醒脳開竅法を筆頭に,針灸治療の方面で国内外にその名をとどろかせている。針灸専門の施設として,病院の規模・患者の数・医師の質のいずれにおいても,中国屈指のレベルを誇る。そのなかで,針灸臨床における弁証論治の重要性を特別に強調する武連仲教授に,脳疾患に対する理論と実践についてお聞きした。
【読みどころ・その4】 p126~133
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針灸の弁証論治はこうして形づくられた。 |
穴性理論の誕生から針灸処方学へ(譚源生)
「針灸の弁証論治形成のカギとなったのは,中華民国時代に誕生した穴性理論」と喝破してみせた筆者が,その根拠を示す。
穴性の概念は古代から散発的にみられるが,中医の薬性理論を取り入れ,穴性として体系化したのは羅兆琚だと説く。
羅兆琚によって提起された穴性理論は,『素問』『霊枢』以来,理論的にほとんど変化のなかった針灸学にパラダイムシフトをもたらした。
穴性理論によって,中医と同様の弁証論治体系をもつ,新しい針灸治療体系が誕生したのだ。