【読みどころ・その1】 p84~87
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漢方エキス製剤,わずか27方剤を駆使して,
救急病棟で大活躍の漢方治療 |
熊本赤十字病院内科医師加島雅之流漢方(西森婦美子)
注目の若手漢方医・加島雅之医師の臨床現場を,兵庫県立尼崎病院東洋医学研究所の西森婦美子医師がリポート。
加島医師は,これまでも集中治療領域でしばしばみられる浮腫に対して五苓散や茯苓飲合半夏厚朴湯で対処したり,呼吸苦と全身倦怠を訴える患者に補中益気湯合真武湯で劇的に改善させた症例を報告している。
そんな加島医師の臨床現場をつぶさに観察した西森医師は,加島医師に救急病棟における独自の漢方治療マニュアルが出来つつあることを感じ取る。
【読みどころ・その2】 p32~38
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平馬直樹先生の中医学との出会い,学び方。 |
中医学の魅力(平馬直樹)
平馬直樹先生は中医学による診療を始めて30年。
一貫して,ゆるぎない信念をもって中医学を実践してこられた。
若い頃,大塚敬節先生の外来に付き,その細やかな加減法の意味を理解するために中薬学を学び始めた。さらに生薬の薬能を詳しく知るためには中医学の基礎理論が欠かせず,本格的に中医学の理解を深めてゆく。その後の中国の老中医との出会いは,さらに平馬先生を中医学の世界へといざなっていった。
「中医学の魅力とは何なのか」を問う連続インタビュー企画の第1回目。
【読みどころ・その3】 p68~74
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診察風景を通して
難病治療における弁証のプロセスを学ぶ。 |
結節性甲状腺腫を合併した重症筋無力症(丁元慶)
中医学基礎や診断学を学んでも,臨床にのぞむと,どう弁証していけばよいか戸惑う。
中医学の初学者に共通する悩みだ。
その悩みを解決するために,当社では昨年,『
[実践講座] 中医弁証』を出版した。臨床でよくみられる疾患を取り上げ,弁証論治の具体的な方法を学ぶ。
本稿はその難病治療版として,山東中医薬大学の丁元慶先生に依頼して書き下ろしていただいた。
医師と患者の会話形式で,弁証論治を行う診察風景を再現。対話の要所で,弁証論治の組み立て方・分析方法を解説しているので,弁証論治の進め方を容易に理解できる。
【読みどころ・その4】 p128~138
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針灸の弁証論治はこうして形づくられた。 |
針灸の弁証論治形成の謎を解く(譚源生)
「針灸の弁証論治は実際臨床を反映していない」
「弁証論治は中医の理論であり,同じものを針灸で用いることはできない」
こうした見方があるが,果たしてそうだろうか。
針灸の弁証論治はいつから現在のようなスタイルになったのだろうか。
譚源生氏は,『素問』『霊枢』以後,理論的にはほとんど変化のなかった針灸学が,劇的な変化を見せたのは,中華民国時代に承淡安と羅兆琚の2人が登場してからだと説く。
現在の針灸学の直接のルーツはこの2人にあり,彼らによって起こったことを分析しきれば,中医針灸の抱える問題の答えが見えてくる。