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通巻115号(Vol.29 No.4)◇リポート



 2008年10月31日~11月3日,北京中医薬大学で,「2008年国際針灸技法実演および臨床応用学術研討会/全国腧穴臨床応用と研究学術研討会」と銘打った,針灸の国際学術大会が開催された。2005年に第1回目が開催され,今年が2回目。

2008年針灸国際学術大会


 大会は,①針灸に関する主題講演と,②針灸技法の実演の2本立てで行われ,国内外から143人が参加した(そのうち国外からは世界20カ国から43人が出席)。

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(写真左から朱江学院長,梁繁榮教授,イタリアのSederico Marmori氏)

 今大会は,北京中医薬大学と中国針灸学会腧穴分科会の共同主催で,北京中医薬大学針灸学院が企画・運営を担当した。
 主題講演では,針灸の技法と腧穴の臨床応用・研究,さらに世界における針灸の発展状況などについて講演された。針灸技法の実演では,国内外の15人の臨床専門家がデモンストレーションを行い,参加者たちは先を争って被験者になることを求めるなど,会場は終始熱気に満ちあふれていた。実演された針灸技法は,毫針・芒針・火針・腹針・平衡針・新九針・眼針・砭石・抜罐療法・複式補瀉法・デンマークの鍼灸2000針法・日本の鍼灸美容療法などで,伝統的な技法はもちろん,さらにここ数年,著しく発展した現代的な鍼灸技法も紹介されるなど多彩で,さまざまな針灸技法を広く知らしめ,深く研究を進めてゆきたいとする主催者の意気込みが伝わってきた。

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(写真上段左から国医堂の張吉氏,火針技法の賀林氏,芒針技法の楊兆鋼氏
 下段左から美容針灸の川島陽咲枝氏,平衡針療法の王文遠氏,腹針技法の薄智雲氏)

 大会の企画・運営を担当した北京中医薬大学針灸学院の朱江学院長に大会のねらいについて尋ねた。
 「4年くらい前からアイデアはあったのですが,針灸に関する技法や治療法則についてまとめておきたかったということです。針灸で治療効果が上がるかどうかは,特に技法と密接に関係しています。国によっては,例えば中国で数カ月,針灸を学んだだけでクリニックを開設したり,治療を行ったりしています。ただ,そういう人たちが治療をしても一定の効果が出ることがあります。針灸にはそのような面もありますが,経験豊かな人が治療すれば,もっと良い効果が出ます。それはやはり刺針技術と関係していると思います。技法の法則性のようなものをまとめることができれば,より治療効果を上げることができるのではないかと思います。治療穴が適合していれば問題はありません。しかし,腧穴というものは,病理的な状態にあるときに反応を起こしますし,腧穴の作用はけっして固定したものではなく変化します。腧穴の部位も人によっては経絡図とは一致しません。ですから,私たちは部位の他にも技術的な面からも腧穴の応用法を追及していこうと思ったわけです。私たちの学校は北京中医薬大学という国立の大学ですし,地理的にも便利な場所に位置していますので,全国のさまざまなノウハウをもった先生方の経験を集積して,そこから何かを見出せればすばらしいと思います。大学の限られた授業時間のなかではすべての技法に触れることはできません。中国のなかにあっても,他校のすばらしい先生たちの技術を見ることはなかなかできないのです。ですから,このような機会を設けて,さまざまな先生の技術に触れてもらいたいと思っています」
 この国際学術大会は,隔年での開催を予定しているとのことで,次回の開催が楽しみである。

プログラム
[11月1日]
午前:主題報告
 ① 呉煥淦(国内外における灸法の応用と研究の進展およびその発展)
 ② Thomas Smiley Burgoon(アメリカ)(アメリカにおける針灸の現状
   と展望およびアメリカの西洋医における針灸の理解)
 ③ Sederico Marmori(イタリア)(針灸における国際教育の方法につい
   ての考察)
 ④ 梁繁榮(国内外における経穴の特異的効能に対する臨床研究および
   展望)
午後:針灸技法実演
 ① 王富春(毫針技法)
 ② 楊兆鋼(芒針技法)
 ③ 賀 林(火針技法)
 ④ 薄智雲(腹針技法)
 ⑤ 王文遠(平衡針療法)
 ⑥ 喬正中(新九針技法)
 ⑦ 川島陽咲枝(針灸美容)
 ⑧ 張 吉(補瀉手技)

[11月2日]
午前:針灸技法実演
 ① 田維柱(眼針技法)
 ② 焦順発(頭針技法)
 ③ 郭 義(刺血療法)
 ④ 孟憲忠(抜罐療法)
 ⑤ 楊世禄(耳針美容)
 ⑥ Jensen Michael(デンマーク)(針灸2000技法)
 ⑦ 呉炳煌(浅刺針法)
午後:主題報告
 ① 朱 江(国内外における刺針技術の臨床応用と研究の進展)
 ② Denis Colin(フランス)(フランスにおける針灸の現状と発展)
 ③ 朱 兵(国内外における経穴―臓腑の関連についての基礎研究の
   歴史と未来)
 ④ 朱勉生(フランス)(奇経八脈の不思議は針灸時空治療学の運用に
   ある)
 ⑤ 程 凱(2007-2008中国における腧穴の研究と応用の新展開)

(文責:編集部)

中医臨床 通巻115号 特集/機能性ディスペプシアの治療(Vol.29-No.4)
『中医臨床』通巻115号(Vol.29 No.4)
p158~p159より転載

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