中医学の東洋学術出版社:『中医臨床』
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▼『中医臨床』
中医臨床 通巻168号(Vol.43-No.1)
特集/生薬・丹参と丹参製剤
古くて新しいテーマ―活血化瘀―
【特集】生薬・丹参と丹参製剤
生薬・丹参はシソ科のタンジンの根を乾燥させたもので,中薬学においては活血化瘀薬に分類され,おもに①活血祛瘀,②涼血消癰,③養血安神の働きをもつとされる。活血化瘀は従来の伝統医学ではおもに婦人科疾患・打撲・癓瘕積聚などに用いられることが多く,冠動脈疾患の治療に用いられることはあまり多くなかった。それを中西医結合によって,伝統的な血瘀証と血栓形成・血小板活性化・血管狭窄・痙攣などの冠動脈疾患の主要な病理とを結びつけて開発され,心疾患の治療に新たな道を拓いたのが,現代中医が生んだ名方として名高い冠心Ⅱ号方(丹参・川芎・赤芍・紅花・降香)であった。その後中国では本方をもとにさまざまな中成薬が製造されてきたが,日本に導入,開発された「冠元顆粒」(イスクラ産業)もそのひとつである。
現在,丹参を含む活血化瘀剤の応用の可能性は心脳血管障害にとどまらない。糖尿病性腎症や網膜症,メタボリックシンドロームや認知症といった慢性疾患に対しても応用の可能性が見えてきている。
定価 : 本体1,600円+税
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中医臨床 通巻167号(Vol.42-No.4)
特集/慢性疲労と慢性疲労症候群(ME/CFS)
中医学・漢方医学が導く病態と治療の考え方
【特集】慢性疲労と慢性疲労症候群(ME/CFS)
疲労・倦怠感を訴える人は少なくない。しかし,一般に過度の肉体的・精神的労作によって疲労が生じるものの休息によって回復するものは治療の対象とはならない。
本特集では休息しても疲労が持続するいわゆる慢性疲労と呼ばれる長びく疲労・倦怠感や,筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome:ME/CFS)と診断される疾患について取り上げる。
ME/CFSは長期にわたり日常生活や社会参加が著しく阻害される疾患で,神経系(中枢神経系および自律神経系)・内分泌系・免疫系など多系統に障害を来す。
現在まで特異的なバイオマーカーは見つかっていないが,病因・病態については少しずつ明らかになってきている。治療は漢方薬・向精神薬・鎮痛薬・ビタミン剤など薬物療法のほか,運動療法や認知行動療法,鍼灸やヨガなどが行われている。
中医学にはME/CFSという病名はないが,「虚労」と呼ばれる中医病名がこれに近いとされ,古代より虚労の証候を分析しさまざまな治療方法が試みられてきた。
もちろん,虚労=現代のME/CFSではないが,慢性疲労やME/CFSの病態とその治療を考えるうえで多くの示唆を与えてくれる。
特集では日本と中国における ME/CFSの漢方治療の概要,漢方や鍼灸による治療経験などを紹介する。
定価 : 本体1,600円+税
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中医臨床 通巻166号(Vol.42-No.3)
特集/慢性疼痛の中医治療
慢性の痛みに中医学を活用する
【特集】慢性疼痛の中医治療
慢性疼痛治療の最終目標の一つは痛みの軽減であるが,治療による副作用をできるだけ少なくしながら痛みの管理を行い,患者のQOLやADLを向上させることが重要になる。
わが国では慢性疼痛に対し漢方薬が使われることも少なくなく,鍼灸治療はすでに一般的に用いられており,現代医学とは異なる視点を持つ伝統医学は慢性疼痛治療のさまざまな局面で活用されている。
中国でも慢性疼痛に対して湯液・鍼灸治療が積極的に行われているが,基本となる考え方は,痛みに対する「不通則痛,通則不痛」「不栄則通,栄則不痛」に集約され,不痛則通では気滞に理気,瘀血に活血,痰飲に化痰,不栄則痛では気虚に補気,血虚に補血が用いられる。さらに中医学では「病が長引けば絡に入る」といわれることから絡病学の観点も見逃せない。
本特集では,中国の文献より絡病の観点からみた慢性疼痛の治療のほか,「神」に着目した鍼灸治療について紹介し,さらに日本の経験として,漢方・鍼灸・灸法の症例報告を掲載する。
定価 : 本体1,600円+税
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中医臨床 通巻165号(Vol.42-No.2)
特集/安神法~精神を安定させる治療~
現代病の背後に心神の不安あり
【特集】安神法~精神を安定させる治療~
安神法とは心神不安・心悸不眠を治療する方法である。中医八法には含まれない治法であるが,現代のライフスタイルの変化・社会の複雑化に伴い,精神疾患・症状は増加しており,現代の臨床において安神法を用いる局面はけっして少なくない。
心は神を蔵し,肝は魂を蔵し,腎は志を蔵することから,心神不安に伴う証候は心・肝・腎三臓の陰陽バランスの乱れ,あるいは相互の機能失調とかかわるものが主体となる。そのため,重鎮安神・補養安神・交通心腎などが基本となるが,心神不安を引き起こす病機はさまざまであるため,臨床においては各病機に対応させて潜陽・養血・滋陰・疏肝・清熱・化痰・和胃・化瘀などを適宜組み合わせてそれを解消し,陰陽の相交を促進し,心に宿る神を穏やかに安定させることが行われる。
本特集では安神法の概説をはじめ,“胃が不和になれば安眠できない” “諸痛痒瘡,皆属于心”といった古説にもとづく不眠症治療や皮膚病治療を考察するほか,寧心安神法による婦人病治療,安神法を用いた鍼灸の症例などを取り上げる。
定価 : 本体1,600円+税
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中医臨床 通巻164号(Vol.42-No.1)
特集/温法と温裏剤
虚火の病態を捉える
【特集】温法と温裏剤
温法は中医八法の一つで,温裏法ともいわれ,裏寒証に対し温熱性の生薬を用いて温陽祛寒をはかる治療法とされる。温法は熱証に用いないことが大原則である。そのため診断においては寒熱の真仮の鑑別が非常に重要になる。特に真熱仮寒への温法の誤用には注意しなければならない。他方で,脾気虚によって虚火を生じる陰火や,陽虚によって虚火を生じる虚陽上浮はいずれも熱証を呈するが,実態は脾気虚や陽虚であるため温法を用いなくてはならない。やはり病態の把握が重要である。
本特集では,『内経』が提起した温法とその後の歴史的経緯を振り返り,さらに温法の応用例を中国の雑誌文献からだけでなく日本の臨床家の経験を交え紹介する。また,温病の大家として知られる呉鞠通が意外にも温熱剤を多用していたことも取り上げる。
定価 : 本体1,600円+税
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中医臨床 通巻163号(Vol.41-No.4)
特集/和解と調和の治療――和法
【特集】和解と調和の治療――和法
和法とは,和解あるいは調和の方法によって,半表半裏の邪,あるいは臓腑・陰陽・表裏失和の証を解除する治法の一つである。和法はもともと,傷寒少陽証に対する和解法として位置づけられていたが,明清代以降,その範囲が拡大され,現在の和法は傷寒少陽証だけでなく温病少陽証や,臓腑不和の内傷雑病にまで対象が拡がっており,邪在少陽・邪在膜原・肝脾不和・肝胃不和・脾胃不和・気血不和・営衛不和などの病証に対して用いる治法として位置づけられている。したがって和法の応用範囲は非常に広範に及ぶ。
そこで本特集では,まず和法と和解剤の発展の歴史を振り返り,さらに中国における五官疾患(鼻淵)・血液疾患・皮膚疾患に対する和法の応用経験を紹介する。
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中医臨床 通巻162号(Vol.41-No.3)
特別企画/わが国における新型コロナと漢方
秋冬のCOVID-19に備える
【特別企画】わが国における新型コロナと漢方
2019年12月に中国湖北省の武漢市で広がり始めた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的拡大をみせて8カ月。9月現在,わが国では新規感染者が緩やかに減少する傾向をみせているが,感染抑制と経済活動の正常化をにらみながらの悩ましい状況が続いている。
この間,COVID-19に対しさまざまな知見が得られ,治療薬やワクチンの開発が急ピッチで進められているが,変異しやすいウイルスの特性を考えるとウイルスそのものをターゲットとする現代医学とは異なり,生体に働きかけることを主体とする漢方医学をぜひとも有効に活用したい。中国では流行の早期から国の「COVID-19の治療ガイドライン」に中医学を組み入れ,実際に多くの臨床現場で用いられてきたが,わが国ではどうであろうか。今回,日本の医療現場から,COVID-19と中医学・漢方をテーマに,経験・提言・可能性・現状などについて声を寄せていただいた。
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中医臨床 通巻161号(Vol.41-No.2)
特集/新型コロナウイルス感染症と中医学
COVID-19の第2波に備える
【特集】新型コロナウイルス感染症と中医学
2019年12月に中国湖北省の武漢市で広がり始めた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,瞬く間に世界中に蔓延し,3月11日,WHOは「パンデミック」を宣言。6月1日現在,全世界で37万人以上の死者を含む605万人を超える感染者が確認されており(WHO),その被害は甚大である。すでに多くの国で感染のピークは過ぎているとみられるが,東アジアに比べると欧米の被害の大きさが際立っている。この間,COVID-19に対しさまざまな知見が得られているが,いまだ決定的な治療薬やワクチンは開発されていない。今秋から冬にかけて再流行も懸念されており,これまでの中医学の取り組みを総括して,対策のための備えとしたい。
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中医臨床 通巻160号(Vol.41-No.1)
特集/雑病に応用する汗法
【特集】雑病に応用する汗法
現代中医学において,汗法とは解表法のことであり,発汗によって体表部の邪気を汗と一緒に取り除く治療法であるとされている。『素問』陰陽応象大論の「其れ皮に在る者は,汗によりてこれを発す」がその理論の根拠である。 そのため,一般に汗法は外感病の初期や,病邪が皮腠を犯したときに現れる表証の治療に用いられ,開泄腠理・調和営衛・発汗祛邪を通じて表邪を解除する方法として理解されている。さらに,外邪の性質の違いにより,汗法には発散風寒法(辛温解表法)と疏散風熱法(辛涼解表法)があり,それぞれ風寒表証と風熱表証の治療に用いられる。 このように,汗法は外感病に対する常用法として認識され用いられているが,実際には表証外感だけでなく裏証雑病に対しても応用することができる。本号では一般的な解表法とは異なる応用経験を紹介する。
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中医臨床 通巻159号(Vol.40-No.4)
特集/脾胃の調理を再考する
脾胃は全身をコントロールする要
【特集】脾胃の調理を再考する
中医学では一般に,脾胃は「後天の本」であり,胃は受納を,脾は運化を主り,「一納一運」で,両者が密接に協力して水穀を化して精微とし,気血津液を化生して全身に供給するとされる。脾の病では,陽気虚衰のため運化機能が失調し,そのため水湿や痰飲が内生して起こる病証,あるいは統血機能が失調して起こる出血病証がよくみられる。また胃の病では,受納機能や腐熟機能の障害や胃気上逆の病変がみられる。そして,①脾気虚証,②脾陽虚証,③中気下陥証,④脾不統血証,⑤寒湿困脾証,⑥脾胃湿熱証,⑦胃陰虚証,⑧食滞胃脘証,⑨胃寒証,⑩胃熱証などの証型があげられている。
こうした中医学の理解を踏まえたうえで,本特集では改めて「脾胃の調理」にスポットを当て,胃腸疾患以外の病であっても脾胃を調理することが大切であることを示したい。脾胃は中央にあって全身の気機の昇降をコントロールする枢軸だからである。
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