本号の主な内容
【特集/広東省とSARS】
■鄧鉄涛先生に聞く/誇りある中医学治療の実現
■楊志敏・林琳 両医師に聞く/中医学がSARS患者を救った
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■症例報告◎排尿後の臍痛
■温故知新◎「針灸療法と弁証施治」
■弁証論治トレーニング◎乳がん
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目次
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【特集/広東省とSARS】
* インタビュー/
・鄧鉄涛先生に聞く/誇りある中医学治療の実現
――広州で結実する徒弟制度
・楊志敏・林琳 両医師に聞く/中医学がSARS患者を
救った――治療の第一線で活躍した中医師たち
* 中医学を育んできた都市――広州(藤田康介)
* 広州を襲ったSARSの記録(2002~2003)(編集部)
* 21世紀は中医学が世界に飛び出す時代(鄧鉄涛)
* SARS103例における中西医結合治療効果の分析(林琳ほか)
* 医学生・研修医・プライマリケア医のための中医学講座<第8回>
重要処方を理解する(その2)五苓散・猪苓湯(入江祥史)
* 系統中医学講座ダイジェスト<第11回>
経絡・症例分析の実際/処方解説・小柴胡湯(仙頭正四郎)
* 私の診察日記<6>(風間洋一)
* 漢方臨床小説/湯液の脈診(3)(上河原哲夫)
* 深く印象に残っている症例/
排尿後の臍痛(小髙修司)
* 古典に学ぶ/
張錫純の山薬の配合経験(岡部佐重)
* 研究会リポート/愛媛県松山市の中医学研究会の活動(編集部)
* 書評/
・秘伝『杉山真伝流』陰印出版から何を学ぶか(石田秀実)
・『新しい医療革命』(平馬直樹)
*
温故知新<6>/名中医の針灸に学ぶ「針灸療法と弁証施治」
(邱茂良)
* できる鍼灸師をめざして/学生のための針灸臨床講座<第3回>
喘息について(兵頭明)
* 中医学の発展・普及のために/中医学用語のとまどい(名越礼子)
* 名医の経験に学ぶ/難治性疾患を針灸で治す
――南京中医薬大学・李忠仁教授の経験(彭擁軍)
*
弁証論治トレーニング<43>乳がん
・回答へのコメント(高橋楊子・呉澤森)
・次回出題
*
リポート/第2回日本中医学大交流会
――中医学のさらなる交流を!(編集部)
* 針灸質問コーナー
60/『素問』湯液醪醴論篇の「鬼門」とは何を指すのか(岩井祐泉)
61/外感病と内傷病の関連について(王財源)
62/「『衛気』は膀胱の津液が気化されてできる」という説をどのように
考えるか(左合昌美)
* 東洋医学のためのパソコン入門講座<6>
「今昔文字鏡」ソフトを使う(2)――ユニコードをホームページで使う
(小林健二)
* 中医臨床小説/老中医の診察室<第35回>
多くの方剤を用いて珍しい不整脈を治療する(柯雪帆)
* 著作権の利用許諾に関するお願い
*―*―* ここに注目! *―*―*
[インタビュー] 鉄涛教授に聞く/誇りある中医学治療の実現
――広州で結実する徒弟制度 |
WHOの統計によると,世界32カ国で8,400例以上のSARS患者が報告されている。全世界のSARS死亡率は11%にのぼり,香港17%,台湾27%,中国大陸7%で,そのうち広東省は3.8%,広州は3.6%だった。広東省ではなぜSARSに対してこれほど著しい成果を上げることができたのか。広東省を代表する老中医_鉄涛教授は,広東省中医院の若い医師たちを全国から呼んだ老中医につかせて,伝統的な経験を継承させる徒弟制度の試みをその理由の1つにあげる。また_教授は,中医学の臨床力を養うためには,「4大経典」が欠かせないと強調する。現在,「4大経典」の教育研究室は,大学内に設置されるのが普通だが,広東省中医院では病院に設置されており,「4大経典」の臨床教育に力を入れているという。SARS流行のときにこれら「4大経典」に携わる教官たちが教育・研究だけでなく臨床で経験を積んでいたことも広州の際立った成果と無関係ではない。そのほか,「急性疾患に有効な中医学」「中西医結合」などについても興味深いお話を伺った。
[インタビュー] 楊志敏・林琳 両医師に聞く/
中医学がSARS患者を救った
――治療の第一線で活躍した中医師たち |
読者から出されたさまざまな質問に,専門家たちが回答する好評の連載。Q57では,2経あるいは数経が交わりあう腧穴である交会穴について,北京中医薬大学の朱江先生らに答えていただいた。これまで交会穴についてきちんとまとめられたものは多くない。ここでは,『内経』以降古典に現れた交会穴から,現在の統一教科書に記載されている交会穴に至るまで,どの交会穴が追加され,また削除されたのかについて詳細にまとめられている。また,交会穴の臨床効果についても,関元穴と風池穴を例にしてその治療効果について丁寧に紹介されている。
[名医の経験に学ぶ] 難治性疾患を針灸で治す
――南京中医薬大学・李忠仁教授の経験 |
南京中医薬大学の中西医結合の専門家である李忠仁教授について,教授の教え子がその学術思想について紹介している。李教授は「陽経を瀉し陰経を補い,督脈と陽明を重視する」の原則を提唱し,脳卒中の後遺症の治療に応用している。また半身不随患者に,頭針と舌下針の使用を強調してこれらは脳血管障害を治療する際のカギだと強調する。さらに,李教授は難治性疾患に脾胃論を用いる。脾胃の経穴を用いて建運中焦・扶正去邪・調治臓腑の作用によって,本虚標実の難病や脾胃の運化機能失調による臓腑病と陽明実証を治療する。
[温故知新6] 名中医の鍼灸に学ぶ 「針灸療法と弁証施治」
邱茂良 |
現代中医針灸の礎を築いた名中医たちの針灸を紹介する好評の連載。今回は,針灸における弁証論治の形成に大きな役割を果した邱茂良先生である。今回紹介する論文では,中医学治療の大綱である弁証施治が,針灸治療においても重要な役割を担っていることが強調されている。そして弁証施治が針灸治療において具体的にどのように用いられるかについて咳嗽を例に詳しく解説している。弁証施治で最も大切なことは,疾病の進行過程の各段階において,具体的な状況を把握して,それに合わせた適切な治法を用いることだと述べ,弁証施治の法則を正しく把握しさえすれば,針灸療法の効果を十分に発揮できると結論している。
【訂正】
本号の記事中に誤りがありました。
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