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中医臨床 通巻96号(Vol.25 No.1)

中医臨床 通巻96号
 特集/威力を発揮する中医外科療法



定価 : 本体1,571円+税


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本号の主な内容
【特集/威力を発揮する中医外科療法】
 [取材]鍼灸教育の現場で
  ――中医学導入が“当たり前”の時代に
■黄河の旅◎山西省太原市を訪ねて
■[新連載]◎学生のための針灸臨床講座
■SARSトピックス◎香港で活躍した広東省中医医院の医師たち
■クローズアップ針灸◎針灸治療は感染症の予防・治療に効果がある


目次

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【特集/威力を発揮する中医外科療法】
  * インタビュー/唐漢鈞教授に聞く――中医外科とは何か?
          (藤田康介)

  * 中医外科学とはどんな学科か(藤田康介)
  * 中医外科学の発展(唐漢鈞)
  * 明清代の中医外科の流派について(黄煌)
  * 重症糖尿病足末端壊死の治療(程亦勤)
  * 外科疾患では生黄耆を重用する(唐漢鈞)


* 名医探訪/傅青主とその医学(戴昭宇)
* 黄河の旅/山西省太原市を訪ねて(戴昭宇・北川毅)

* SARSトピックス/
  香港でSARS治療に奮闘した広東省中医院の医師たち
(周頴)

* 杏林春秋/方剤に関する私論(小高修司)
* 医学生・研修医・プライマリケア医のための中医学講座<第6回>
  中医学における西洋医学的検査とは(入江祥史)
* 系統中医学講座ダイジェスト<第9回>四診と弁証の原理(1)
          (仙頭正四郎)
* 私の診察日記<5>(風間洋一)
* 漢方臨床小説/湯液の脈診(1)(上河原哲夫)

* 臨床リポート/桂枝二麻黄一湯と桃紅四物湯による慢性蕁麻疹の
  治療効果(周海虹)

* 取材リポート/鍼灸教育の現場はいま!/
  鍼灸学校における中医学の導入
(編集部)

* できる鍼灸師をめざして/学生のための針灸臨床講座/
  胃痛について(1)
(兵頭明)
* 注目すべき文献/医案とは何か(黄煌)
* 針灸質問コーナー
  54/原穴の刺針法について(邵輝)
  55/罷極の本について(左合昌美)
  56/脈象と六部定位脈診について(王財源)

* クローズアップ針灸/
  針灸治療は感染症の予防と治療に効果がある
(劉イ宏)
* 歴代文献の分析/古代針灸の痙証治療に関する文献研究
          (劉立公・顧傑)
* 弁証論治トレーニング<41>肺がん
   回答へのコメント(高橋楊子・呉澤森)
   次回出題 (呉澤森)

* 東洋医学のためのパソコン入門講座<4>データベースを作ろう
  ――『中医臨床』総目次索引――(小林健二)

* 針灸臨床研修日記<5>「中医研診察室」の弁証テスト(大谷泰弘)
* 中医臨床小説/老中医の診察室<第33回>
  鐘医師の総合的な治療を受けて女子大生は予定通りに復学(柯雪帆)
* 新刊紹介/『症例から学ぶ中医婦人科――名医・朱小南の経験』
          (戴昭宇)

* 書籍紹介/
  『傷寒論類方精解』 宮澤俊郎著
  『実践漢薬学』 三浦於菟著
  『鍼灸医学における実践から理論へ パート3』 藤本蓮風著
  『漢方・中医学臨床マニュアル』 森雄材編著
  『漢方外来』 日笠久美著

*―*―* ここに注目! *―*―*

 [インタビュー]唐漢鈞教授に聞く/中医外科外科とは何か

 上海をはじめとした華東地区では中医外科が特に盛んである。上海およびその周辺地域では1950年代から,中医外科に関する人材に恵まれ,顧氏・夏氏・章氏・陶氏の4つの流派が知られてきた。このうち,上海中医薬大学附属龍華病院は顧氏系列の中医外科を継承しており,現在,中医外科主任の唐漢鈞教授は龍華病院で41年間にわたって中医外科に携わってこられた。中医外科では,中医理論をもとにして,人体表面に起こった病変を中心とする外科疾患を扱う。これらの疾患の証や弁証の規則性を研究し,その予防と治療を行う。インタビューでは,唐漢鈞教授に龍華病院での治療経験にもとづいて「中医外科とは何なのか」について丁寧に答えていただいた。普段なじみの薄い中医外科分野についてわかりやすくまとめられている。

 [取材リポート]鍼灸教育の現場はいま!
   鍼灸学校における中医学の導入

 数年前まで,中医学を導入する鍼灸学校はほんの数校しかなかった。ところが現在,各校のホームページを開いてみると中医学を取り入れている学校の多いことに驚かされる。既設校を含む全71校中32校で中医学が導入されている。編集部では,今年1月下旬,関西の6つの鍼灸学校を訪問して中医学導入の経緯から取り組みについて取材した。ほとんどの学校で「中医学を取り入れるのは当たり前」「中医学は世界のスタンダードだ」という声を聞いた。今現在の鍼灸学校における中医学教育の現状をリポートする。

 [SARSトピックス]香港でSARS治療に奮闘した
   広東省中医院の医師たち

 2003年末,広東省中医院と香港政府医管局は3年間の予定で,臨床中医学と科学研究プロジェクトを共同で行うことを取り決めた。今年中には香港医管局が管轄する公立病院に3つの中医診療所を設け,広東省中医院から中医の専門家が派遣されることになっている。こうした成果は,広東省中医院から香港に派遣され,SARS治療に取り組んだ2人の女性中医師の成功を抜きにして語れない。彼女らの努力によって,香港市民に中医薬の効果を認めさせることができたのだ。その影には,鄧鉄涛教授をはじめ中国を代表する名老中医たちの力強いバックアップがあったことも見逃せない。本報告は,香港の公立病院で5カ月間に及びSARS治療に奮闘した2人の女性中医師の取り組みを報じたものである。西洋医学が圧倒的優位に立つ香港の医療機関で中医がその硬いガードを崩した快挙として報道されている。

 [注目すべき文献]医案とは何か

 医案を西洋医学のカルテと同じように考えている人はいないだろうか。医案は,疾病の各段階における症状を記録するという点においてはカルテと共通するが,医師の思考のフィルターを通して取捨選択された,診断価値が比較的高い症状と経過のみを記録するという点に特徴がある。医案では,病人の症状や徴候についてすべてを記載することは要求されない。ただ弁証論治の筋道をわかりやすく記述することに重点が置かれている。医案とは,医師の臨床活動における思考の記録であり,弁証論治の過程の記録であり,中医学の理・法・方・薬という総合的な応用を具現化した記録形式なのである。だからこそ,中医学では,名医の医案を読むことが弁証による治療のレベルを向上させる1つの方法として推奨されているのである。医案のもつ働きを歴史的経緯を含めて考察した注目すべき論文である。

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