目次
序(安井廣迪)
症例検討会参加者
序章 「わかりません経方医学」の成り立ち
経方医学とは
江部洋一郎先生と私たち
名古屋百合会と経方医学
「わかりません経方医学」から「超えていけ経方医学」へ
江部先生と私たちの診療の違い
江部先生は「理論家」
「わかりません経方医学」の担当と謝辞
第1章 経方医学における気・陰の流れとその解剖・生理学
わかりません経方医学 基礎解説❶❷
経方医学の気と陰
臨床医と基礎医学研究者の気への反応の違い
日常生活のなかの「気」
経方医学の解剖学と生理学
足の冷え,ほてりと外殻の構造
胃気が皮・肌へ膈を通じて外出する
「足背の冷え」と「足底のほてり」の仕組み
後通と前通の衛気を調整する生薬とエキス
臨床の目
『傷寒論』『金匱要略』が難しいワケ
灰本ポイント 気の流れとその調節
症例検討会❶ 両側足背の冷えとしびれと痛み
それぞれの気のイメージ
気は温かく流れる水
後通の衛気不足とは
後通の衛気不足に使う生薬と処方
陰虚内熱を防ぐには
灰本ポイント 麻黄附子細辛湯
症例検討会❷ 前胸部の冷え
脈診から病態を考える
左右の脈証が異なるとき
舌診と問診を加えて総合的に考える
前通の衛気不足とは
前通の衛気不足に使う生薬と処方
衛気不足の治療効果はそんなに甘くない
灰本ポイント 人参湯
第2章 肌の気と陰を動かす 越婢加朮湯
わかりません経方医学 基礎解説❸
西洋医学的な浮腫と漢方的な浮腫
気,陰,湿のおさらい
皮膚は皮と肌から構成
肌の気と陰液はどこから来て,どこに戻るのか?
病的な肌水(湿)が発症
肌水の治療法
ベクトル薬の使い方
ベクトル薬の課題
症例検討会❸ 抗がん剤による著しい浮腫
経方医学の浮腫のとらえ方
抗がん剤による胃気と胃陰への影響
この患者の浮腫はどこで起きているか
肌水の治療に使う処方
ベクトル薬を組み合わせて肌水を尿に流す
越婢加朮湯と防已黄耆湯の経方医学的な違い
灰本ポイント 越婢加朮湯
第3章 脈診と問診から気・陰の性状がわかる 滋陰降火湯
わかりません経方医学 基礎解説❹❺
「病気とは気が行き過ぎるか,行かないか」
胃気が行き過ぎる
陰虚内熱,陰虚陽亢の病態
脈診の方法と脈からわかるいろいろな病態
陰虚内熱・陰虚陽亢の症状,脈証,舌証
気を降ろす生薬と滋陰薬の組み合わせ
臨床の目:脈診をどのように診療に組み込むか
灰本ポイント 気が上り過ぎる病態,脈診
症例検討会❹ 20年来繰り返す口内炎
脈証から病態を考える
反復性口内炎は気の不足か,陰の不足か?
気虚の処方を使うか,陰虚の処方を使うか?
陰虚内熱に使う3つの処方
反復性口内炎の漢方の有効率
灰本ポイント 滋陰降火湯
症例検討会❺ 長引く咳
脈証から病態を考える
腹証,舌証,問診も加えて総合的に診断する
咳の治療に使うエキス剤
強い気が胃から昇ると熱風となる
膈不利の咳と陰虚内熱の咳は区別が難しい
灰本ポイント 滋陰降火湯
第4章 桂皮と芍薬が気と陰を調える 桂枝湯
わかりません経方医学 基礎解説❻
桂枝湯の要点
営衛不和の仕組み:江部先生の「脈外の気」説
「営衛不和は肌で起こる」説
桂枝湯に含まれる生薬とその意義
まとめと臨床の目
症例検討会❻ 急性胆管炎の治癒過程に出現した異常なだるさと冷汗
浮で軟脈,冷え,大量の発汗をどう考えるか
営衛不和の病理
営衛不和の治療に使う処方と生薬
もし,桂枝湯が思い浮かばなかったとき
灰本ポイント 桂枝湯
第5章 桂皮と芍薬の足し算引き算 炙甘草湯
わかりません経方医学 基礎解説❼
気は膈より上に上りやすい
胃気が上らないときの症状,脈証と鑑別
気が上らない理由
経方医学の核心部,桂皮と芍薬
桂枝去芍薬湯,桂枝甘草湯と桂枝加芍薬湯
「病気はしょせん気が行き過ぎるか,気が行っていないかだ」
桂枝加桂湯と桂枝去桂加茯苓白朮湯
気が上らないときの生薬と処方
臨床の目:器質的疾患と機能的疾患
症例検討会❼ 動悸,胸部不快感
脈証と舌証から病態を考える
問診も加えて病態を総合的に考える
経方医学で動悸の処方
炙甘草湯と黄耆建中湯を鑑別する
桂皮と芍薬で胃気を上げ下げして処方ができる
灰本ポイント 炙甘草湯
第6章 寒邪に一撃,麻黄と桂皮の麻黄湯
わかりません経方医学 基礎解説❽
寒邪はいつも人を狙っている
寒邪が汗腺に張り付く
胃気がパワーアップして皮・肌を走る
気の一部は頭部へ向かう
寒邪を吹き飛ばす生薬と麻黄湯
麻黄湯の加減方
臨床の目
症例検討会❽ 悪寒と発熱
症例と経過の補足
寒邪はいつ皮に外束したか
寒邪を発汗によって吹き飛ばす
寒邪が外束したとき 杏仁と芍薬の違い
最適な服薬のタイミング
葛根湯や桂枝湯ではダメなのか
臨床の目
灰本ポイント 麻黄湯
第7章 胃気の時間差攻撃 小柴胡湯
わかりません経方医学 基礎解説❾
膈は気と陰の十字路
膈とは
膈の構造,気陰の流れと生薬
小柴胡湯証の本態は胃気の時間差攻撃
小柴胡湯の生薬構成と現在の課題
臨床の目
灰本ポイント 膈における気の流れの病態
症例検討会❾ 頸から上の寝汗(頭汗)
脈証と問診から症状を分析
寝汗と寒熱往来の病態
膈熱を冷ますには
胃気が行き過ぎ,行かないの時間差攻撃が小柴胡湯
灰本ポイント 小柴胡湯
第8章 びっくりしやすい人と短脈 酸棗仁湯
わかりません経方医学 基礎解説❿
酸棗仁湯の意義
酸棗仁湯の使い方と有効率
経方医学の不眠
現実の不眠
臨床の目:私の酸棗仁湯エキスの使用体験
症例検討会❿ 胸がザワザワする,頭重感,中途覚醒
脈証,舌証,問診から病態を考える
短脈と胆気不足
酸棗仁湯の有効率
灰本ポイント 酸棗仁湯
第9章 心下は軟らかいが痞える 半夏瀉心湯
わかりません経方医学 基礎解説⓫
腹部症状の見方
半夏瀉心湯の原典
構成生薬とその疑問
参考として大黄黄連瀉心湯(エキス剤では三黄瀉心湯)
症例検討会⓫ ゲップと嘔気
問診と腹証から病態を考える
もともと気陰両虚があった?
上腹部症状に対するエキス剤とその鑑別
さらに処方を鑑別していく
臨床の目:多変量解析からみた半夏瀉心湯
灰本ポイント 半夏瀉心湯
第10章 実体験! 調胃承気湯の真髄
わかりません経方医学 基礎解説⓬
調胃承気湯の調胃とはどういう意味?
調胃承気湯の体験記
調胃承気湯の原典には何が書いてある?
調胃承気湯の使い方と生薬の作用点
大承気湯との鑑別
臨床の目
症例検討会⓬ 上腹部~心窩部の痛み
脈証と腹証から病態を考える
問診を加えて処方を鑑別する
さらに処方の鑑別を深める
調胃承気湯と大承気湯の違い
「調胃」の意味と臨床の目
灰本ポイント 調胃承気湯
第11章 胃気を守る 人参湯
わかりません経方医学 基礎解説⓭
人参湯の一般的な知識
経方医学には2種類の人参湯がある
人参湯に含まれる生薬の役割
人参湯の原典には何が書いてある?
臨床の目
症例検討会⓭ 大腸がん術後の下痢
脈証と症状から病態を考える
気虚の下痢か,陽虚の下痢か
経方医学では下痢をどのように鑑別するか
人参湯と真武湯の違い
臨床の目
灰本ポイント 人参湯
第12章 脱水が起こす胃症状 白虎加人参湯
わかりません経方医学 基礎解説⓮
使い方がわかりにくいこの処方,こんなとき原典に戻る
胃の気陰両虚が発生する病態
飲がある場合とない場合の鑑別
白虎加人参湯の条文からわかる発症の仕組み
白虎加人参湯の生薬構成と人参の意義
目からウロコの症例
症例検討会⓮ 抗がん剤後の胃部不快感
舌証と問診から病態を考える
脈証を加えて病態の理解を深める
胃の虚熱に対する処方の鑑別
白虎加人参湯を正しく知る
江部先生もこの処方の解釈を変更した
灰本ポイント 白虎加人参湯
第13章 従来の使い方は間違っている 麦門冬湯
わかりません経方医学 基礎解説⓯
ほとんどの日本の医師は使い方を間違っている
原典には何と書いてある?
生薬の構成と意義
麦門冬湯の逆流性食道炎への有効性についての臨床研究
臨床の目
症例検討会⓯ 食欲低下,上腹部~胸部不快感
問診と腹診から病態を考える
問診から病態を考える
経方医学で上腹部痛の処方を鑑別する
麦門冬湯の処方構成と正しい使い方
臨床の目
灰本ポイント 麦門冬湯
第14章 感冒の咳に効いてますか? 麻杏甘石湯
わかりません経方医学 基礎解説⓰
麻杏甘石湯とは
麻杏甘石湯は喘息に使う
経方医学の麻杏甘石湯
宣散,粛降と麻杏甘石湯
『金匱要略』の麻杏甘石湯(杏子湯)は肌水を去る
臨床の目
症例検討会⓰ 咳と喘鳴
脈証から病態を考える
舌診と問診を加えて処方を考える
無熱,有汗,喘がキーワード
麻杏甘石湯の生薬とその作用点
もう1つの麻杏甘石湯
灰本ポイント 麻杏甘石湯
付録 胃部不定愁訴における漢方治療の臨床疫学研究
索引[用語][生薬・方剤]