目 次
序章
第1章 解決志向ブリーフセラピー
解決志向ブリーフセラピーの成り立ち
家族療法から生まれた心理療法/他の心理療法とどう違うのか/ダイレクトに「解決」を目指す
解決志向ブリーフセラピーのエッセンス
小話をひとつ―穴に落ちた男/解決像を知る/原因追究は必要ない/専門家が解決するのではない/困っている本人が解決の専門家/「無知」の姿勢の大切さ/変化は必ず起きる/リソース(資源)が必要/専門家の役割
「原因」「問題」「解決」の関係
原因が消えても問題は消えないことがある/直接解決を考える/問題の存続・消滅とは異なる次元にある解決/問題はわからなくても解決はある/障害はあっても充実した人生を過ごす/人間の知恵にみる解決方法
解決志向ブリーフセラピーの進め方
練り上げられたゴール/質問の活用
第2章 漢方医学と精神科医療
日本の精神科疾患治療の歴史
古代から中世―医療と宗教が未分化な時代/近世(江戸時代)―医療と宗教が分化した時代/近代以後―医学が担い、医師中心から多職種連携へ
精神科と漢方は親和性がある
石を撫でると病気が治る?/ミルトン・エリクソン顔負けの精神療法
「心身一如」の医学
「心身一如」の四つの側面/こころと体は分けて考えられない/こころと体は互いに反映し合う/こころが体を変化させる/体がこころを変化させる/漢方治療の「心身一如」/精神科治療と「心身一如」
第3章 精神科で漢方はどう役立つか
漢方薬の効果と有用性
漢方薬はこころと体の症状に同時に効く/抗うつ薬は体に作用する/漢方薬は「いのち」に作用する/漢方薬にも即効性がある
服薬抵抗の軽減
精神科の薬を嫌がる患者さん/病識のない患者さんへの対応/漢方薬への抵抗は少ない/漢方薬の活用で服薬抵抗をバイパスする
精神科薬物の減量
ベンゾジアゼピン系薬物の特徴/ベンゾジアゼピン以外の睡眠薬・抗不安薬/漢方薬の活用法
西洋薬の副作用軽減
消化器症状に効く漢方薬/錐体外路症状に効く漢方薬/抗コリン作用に効く漢方薬
良好な治療関係の構築
ジョイニングまたはペーシング/薬物治療を通じてのラポール形成/薬の「飲み心地」に注目する
全人的医療として
全人的医療とは/高齢者の具体的な例/漢方薬を効かせるには
第4章 精神科でよく使う漢方薬
半夏厚朴湯
気の滞りを改善する/患者さんにはこう説明する/パニック障害への応用/吐き気による不登校のケース
柴胡加竜骨牡蛎湯
ストレスが体の症状となって出るとき/私のビギナーズラック/希死念慮を改善する/息子の家庭内暴力でPTSDになったケース/円形脱毛症の中学生のケース
四逆散
ストレスがあっても表現できないとき/胸脇苦満と腹皮拘急/ナラティブ・ベイスト漢方/職場のストレスからうつ状態を呈したケース/双極性障害の男性会社員のケース
抑肝散・抑肝散加陳皮半夏
怒りがあるときの処方/うつ状態の高齢者のケース/パニック発作のケース
甘麦大棗湯
患者さんが教えてくれた棗の効果/悲しみ・抑うつ・不安が強いとき/不登校の中学生のケース
桂枝加芍薬湯
お腹の症状に効く/神田橋処方(桂枝加芍薬湯+四物湯)/ストレス性の下痢のケース/フラッシュバックと恐怖心があるケース
第5章 レジリエンスをどう引き出すか
レジリエンスとは何か
人はみなレジリエンスを持つ/治療が人を治すわけではない/言葉の力/レジリエンスの働きを邪魔しない
解決志向からみたレジリエンス
精神療法としての薬物療法/信頼と期待を呼び起こす/幼児のカウンセリングって?/解決志向ブリーフセラピーの原則/治療者と患者の関係性/関係性の変化とレジリエンス
レジリエンスの作用点
「こころ」という作用点/「体」という作用点/どの作用点に働きかけるか/健康生成論/ホメオスタシス/「いのち」という作用点
レジリエンスを引き出すもの
抑うつ+下痢症状のケース(解決志向)/更年期による痒みのケース(漢方治療)/期待と希望が果たす役割/回復を語るナラティブ/レジリエンスに働きかけ、回復を促進するもの
終章
精神科治療の厳しい現実との出合い/ブリーフセラピーとの出合い/精神科での漢方活用/いのちのレジリエンス/穴に落ちた男の小話再考/おわりに
参考文献
《column》
解決志向による治療例
「こころ」の誕生
パニック発作のセルフコントロール―体から入る心理療法