▼書籍のご案内-序文

『針灸学[経穴篇](改訂版)』改訂版について

 
改訂版について
 
 今回の改訂ではおもに以下の2点の変更を加えた。
 
1.各論の各経穴にある[定位][取穴法]のうち,わが国の鍼灸師養成施設で用いられているテキスト(『新版 経絡経穴概論』[第2版]・医道の日本社刊)と大きく異なり,教育上問題になりそうな経穴を選び,*を付して日本の記載を追記した。
さらに,巻末に本書と日本の記載の違いを対照できるよう一覧表(付録2「日本の教科書と部位が異なる経穴一覧」,付録3「日本の教科書と取穴法が大きく異なる経穴一覧」)を付した。そのため,改訂版では旧版の付録2「日中経穴部位対照表」を割愛した。
 なお経穴の選別にあたっては,東京衛生学園専門学校の髙橋大希先生にご協力いただいた。
 
2.各論の各経穴の解説に[効能]の項目を新たに追加した。
 効能の出典は,天津中医学院編『腧穴学』(1983年刊)。経穴の効能の表記は中国でも定まっていないが,『腧穴学』は天津中医学院(現・天津中医薬大学)が編集したものであり,天津中医薬大学と学校法人衛生学園が共同で編纂した本書に付け加えても一貫性を保てるとして採用した。これによって,[定位][取穴法][効能][主治][作用機序][刺灸法][配穴例]が齟齬なく一貫したものになったと考える。
 
 その他,経穴名の漢字表記をWHO標準に合わせたほか,改訂作業中に見つかった誤字等を修正した。
 
 本書は,経穴の[主治]を,本経の循行部の病症や臓腑の病症等で分類して表記し,さらに経穴と主治との関係を理解するうえで役立つ[作用機序]を詳しく解説している点に大きな特徴がある。この点に関して旧版から変更はない。本書では,治療穴の選穴や配穴を自ら考える際に必要となる根拠を十分に提供しているので,大いに活用して欲しい。

(編集部)