凡例
●各症例提示部において弁証の鍵となる四診情報にはアンダーラインを引いた。それ以外の文中でのアンダーラインでは重要箇所を示した。
●全文中,重要な中医学用語は太字で示した。
●本書はA 症例,B 重点小括,C 小講義の3つから構成される。
●A 症例は以下の順で示した。(症例により西医診断として現代医学の診断,および既往歴を併記した)
1.POINT:症例を通じて学習するポイントを示した。
2.患者:症例患者の基本属性を示した。個人が特定され得るような情報は除外した。
3.主訴
4.初診:初診の年をX年とし初診の日付を記した。
5.現病歴
6.理学所見:身長,体重,体温など四診所見以外の身体所見を記載した。
7.検査所見:初診時に当院で行った検体検査,あるいは患者が持参した他院における直近の検査データを記した。
8.四診:望聞問切の各所見をこの順序で記載した。持脈軽重法を用いた脈診は表の形で記した。
注)持脈軽重法は『難経』の五難に記載のある切脈法で,各臓ごとの
脈位(深度)を重視している。五難では“菽”という豆の重さで表現され
ているが,“按之至骨,擧指來疾者,腎部也”との記載から,至骨を
15菽としてこれを五等分した深度がそれぞれの臓の基準となる深度
としこれを0で表記している。+は基準より浮側に,-は沈側に位置し,
それぞれの臓の陰陽の偏位を反映すると解釈している。ただし,この
+や-といった表記の仕方は筆者が普段カルテ記載に用いている
ものであり一般に用いられているものではない。なお,症例を読む
前に〈小講義4 切脈法と持脈軽重法〉を一読することを推奨する。
9.弁証
10.論拠:弁証の根拠を解説した。
11.治法:症例の弁証に対応した治療方法の指針を示した。
12.処方:医療用エキス製剤はメーカー間で異なる薬物や用量があることを鑑み,メーカー名を明示した。湯液を用いた症例で,基本骨格とした方剤がある場合はその名称を付記した。
13.経過:治療経過を記載した。
S:subjective(主観的情報),O:objective(客観的情報),
A:assessment(評価),P:plan(計画・治療)
14.解説:症例の病態や治療に関して解説した。
●B 重点小括
各症例の病態,用薬などに関する重要なテーマを取り上げて解説した。
●C 小講義
〈重点小括〉で取り上げなかったより一般的なテーマ,特に脈診に関連する項目を中心に解説した。