徐序
2018年紅葉の秋,日本からわざわざ武漢まで楊達博士が訪ねてこられた。拙著『皮膚病中医診療学』(人民衛生出版社)が東洋学術出版社によって日本語に翻訳され,出版されたことを知らせるためであった。それをきっかけに互いに交流し合い,さらに彼が雲南省の古い友人の劉復興教授の弟子であることを知り,以来,私たちは意気投合して,忘年の友になった。
今年11月,北京で中華中医皮膚科年会が開催された折,楊達博士より,彼が中医皮膚病学に関する本を出版する予定があり,序文を書いて欲しいと頼まれ,欣然として承諾した。
武漢に戻り,原稿を拝読して3つの優れたポイントが感じ取れた。
ポイント1 直観的
本書の基礎篇においては,中医皮膚科学の生理・病理・五臓との関連などに対してチャートや写真などを用いて読者に説明している。難解な文字だけの説明よりわかりやすく,直観的になっている。例えば,皮膚病の弁証では,風・寒・湿・燥・熱(火・毒)を核に,風寒・風熱・寒邪・寒湿・疾湿・温燥・湿熱・熱毒・火毒・血熱などに分類して,さらに典型的な病変写真も提示し,綿密な考え方を示している。これには,作者がさまざまな角度から皮膚病の異なる段階における代表的な特徴を観察していたことが現れている。こうした図・表・説明文を並べて説明するやり方は,初学者に対して「按図索驥」(直観的な手掛かり)の効果がある。
ポイント2 実用的
本書ではよく見られる皮膚病を集め,概説・主証・検査・鑑別診断・病因病理・弁証論治・外用治療の項目に分けている。図表を駆使して,筋道は明瞭で,要点を押さえて弁証論治の精髄を書き出している。
ポイント3 読みやすさ
本書は専門家に対しても中医皮膚科学の師になり得る。また皮膚病の患者とその家族にとっても読みやすく,正しい知識を普及させ,無益な弊害を避けることができるよい本になっている。本書は友でもあり,師でもある傑作であり,それゆえ,喜んで序文を書かせていただき,上文を書き上げた。
庚子孟春 八十一叟 徐宜厚 謹識