▼書籍のご案内-序文

『中医臨床のための常用生薬ハンドブック』新装版 はじめに

 
新装版 はじめに


 1987年に上梓した『中医臨床のための常用漢薬ハンドブック』は多くの読者を得て臨床,あるいは学習の場において広く利用されてきた。
 このたび東洋学術出版社から新装版を出す機会をいただき,全面的に検討を加えた。基本的なレイアウトは初版のものを受け継いでいるが,ハンドブックとしてよりわかりやすいように心がけた。
 1.生薬のイメージがつかみやすいように蜂蜜を除く各生薬にはすべてイラストおよび基原を載せた。
 2.生薬の名称は保険薬価収載名を基準とし,それ以外は一般に通用している名称とした。
 3.初版と同様に生薬は五十音順に配列し,検索しやすくしている。
 4.各生薬の効能上の共通性を把握できるように,「薬効別薬物一覧表」を載せた。同一の生薬でも多くの効能をもつものは多項目に重複して組み入れた。
 5.保険適用の生薬一覧と薬価を収載した。
 6.薬用量については原典に記載のないものもあり,記載のあるものでも固定したものと考える必要はない。症状に合わせて調節すべきである。
 7.中国と日本で名称の混乱がみられるので十分に注意されたい。
 
 文献としては,『中草薬学』(上海中医学院編・商務印書館,1975),『中医治法与方剤』(成都中医学院方剤教研組編・人民衛生出版社,1975),『中薬方剤学(上・下)』(山東中医学院中薬方剤教研室編・山東人民出版社,1976),『扶正固本与臨床』(哈荔田・李少川主編・天津科学技術出版社,1984),『中薬的配伍運用』(丁光迪著・人民衛生出版社,1982),『用薬心得十講』(焦樹徳編・人民衛生出版社,1977)を主体とし,その他を参考にしている。
 
 本書よりさらに詳細に調べていただくには『[新装版]中医臨床のための中薬学』(神戸中医学研究会編著・東洋学術出版社刊)を参考にしていただきたい。
 われわれの知識には今なお限界があり,誤りや未熟な点もあると思われる。本書をよりよくするためにも読者諸氏のご意見・ご訂正をいただければ幸いである。


神戸中医学研究会