序
「賀氏三通法」というのは,『黄帝内経』を理論上の基礎として,歴代医家の思想の精髄を取り入れ,さらに著者自身の学術上の見解を融合させて,80年代に提起した針灸治療理論の学説である。著者は,50年以上にわたって医療活動に従事してきたが,岐黄宝典〔『黄帝内経』〕および歴代の医籍を研究しながら,終始一貫して臨床の実践と結びつけており,針灸理論は実践と結びついてはじめてその作用を具現化することができると考えてきた。そして,数十年の実践過程を通して,常にその成果を高め,数多くの針灸療法のなかからその精髄を取り出して,「三通法」と名づけた。すなわち,毫針を用いて刺針する「微通法」,火針・灸療法を用いる「温通法」,三稜針を用いて刺絡を行い出血させる「強通法」の3つである。
近年,この方法はますます針灸同道の方々から重視され,賛同を得るようになってきている。さらに,針灸三通法を継承・発揚し,普及させ押し広げるべく,1991年11月,「賀氏針灸三通法研究会」を発足させた。このような基礎があって,「三通法」の学術的基盤はいっそう完全なものとなった。
針灸学の貴重な遺産をいっそう発展・発揚させるために,中医の豊富な臨床経験をさらに継承し総括するために,そして臨床医師に対して,よりよく針灸の治療効果を上げられるよう指導するために,著者は『針灸三通法操作模範図説』を編纂したが,これを編纂する過程で,すでに出版されている『針灸治痛』『針具針法』『灸具灸法』などいくつかの専門書および関連する雑誌を参考にした。これは針灸教育・技術関係者・臨床各科の医師および針灸愛好者にとって重要な参考書となるであろう。
賀 普 仁