著者略歴
姜 春華(1908~1992)
姜先生は江蘇省南通県の中医の家庭に生まれ,幼い頃,父の青雲公医師に師事した。20歳のとき上海で開業し,その後,上海の著名な中医である陸淵雷先生の指導を受けた。臨床実践を重ねながら系統的に『黄帝内経』『傷寒論』『金匱要略』『温病学』などの中医経典を勉強し,同時に西洋医学の教育を受けた。当時瘟疫が流行したが,姜先生は貧しい患者を多く救ったことにより,高く賞賛された。
上海医科大学中山医院の中医学教授として,中医学の臨床と西学中(中国医学を学んだ西洋医師)の教育に50年余り携わった。理論的にも臨床的にもレベルが高かった。
姜先生は中医学・西洋医学の両方に精通していたが,中国伝統理論を重視したうえで西洋医学の長所を吸収することを提唱し,特に「弁証論治は中医学の真髄」であり,「弁証と弁病の結合が必要」であると強調していた。
臨床においては,肝臓病・腎臓病・心血管病・呼吸器系統の疾患の豊富な治療経験をもっている。また腎の本質と活血化についての研究ですぐれた業績を上げており,『腎本質研究』と『活血化研究』の二書を主編している。主な著書に,『中医治療法則概論』『傷寒論識義』『中医病理学』などがある。あわせて全国の医薬雑誌に,三百余編の論文を発表している。衛生部から金賞を受賞。国家科学委員会中医専門部会員・中国中西医結合研究会顧問・上海市中医学会名誉理事長を務めた。(劉 桂平)