神戸中医学研究会 編訳
A5判 並製 488頁
定価:本体7,000円+税
臨床実践に裏打ちされた名著
近世の名医・張錫純が残した生薬解説や医論の数々を収載。
シリーズ完結篇。第3巻の中核をなす「生薬学」は,諸家の本草書を鵜呑みにせず,張錫純自ら験し,入念な思考のもとに書かれたもので,いまなおその価値は揺るがない。
【本書の紹介】 |
◇ | 清末民国代の名医・張錫純(1860-1933)の著作『医学衷中参西録』は,1918~34年の16年間に次々と刊行され,全七期30巻からなります。その後,第八期(遺稿)を加え,1934年に河北人民出版社から刊行されたものが現在に至っています。 |
◇ | 書名の「衷中参西録」とは,「衷中」すなわち中医学を確固たる土台のもとにして,「参西」すなわち西洋医学の学説・化学・薬物などを積極的に学んで有益なものを採用したという意味です。張錫純の学説・処方・用薬は,現代においても非常に高く評価されており,現在の臨床においても広く活用されています。 |
◇ | シリーズ完結篇となる[第3巻]は,張錫純の著作『医学衷中参西録』より,張錫純自身の体験にもとづく生薬解説となっている第1章「生薬学」,中医生理学とその他の生薬に関する注意,弟子との往復書簡を含む第2章「医説医話」,医界の同人との書簡による医説の表明を行う第3章「書簡」,遺稿として加えられた第4章「随筆」に部類しなおして1冊にまとめたものです。 |
* | 神戸中医学研究会では,すでに医歯薬出版から『医学衷中参西録を読む』を刊行しております(絶版)が,同書は張錫純の著書の一部を抜粋して刊行したものです。本シリーズでは西洋薬の解説を除く張錫純の著書のほぼ全篇を収載しています。 |
『中医臨床のための医学衷中参西録』シリーズ
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『中医臨床のための医学衷中参西録 第1巻[傷寒・温病篇]』
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『中医臨床のための医学衷中参西録 第2巻[雑病篇]』
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『中医臨床のための医学衷中参西録 第3巻[生薬学・医論・書簡篇]』
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【
張錫純の略歴】
張錫純(ちょう・しゃくじゅん)(1860~1933),字を寿甫といい,河北省塩山県出身の近世の名医。小さな頃から経史子集を狩猟し,さらに父にしたがって医を学んだ。2度の科挙試験に挑むが失敗し,医学の道へ入った。この頃,西洋医学に触れ「衷中参西」の思想が芽生え始める。1909年『医学衷中参西録』前三期の初稿を完成させ,国内で名声をあげる。1912年徳州駐屯軍の軍医として招聘され,さらに1918年には奉天(瀋陽)に設立された近代中国最初の中医病院である立達中医院の院長に就任した。1928年に天津に居を移し,中西医匯通医社(ちゅうせいいかいつうしゃ)や,国医の通信教育学校を設立し,多くの後継者を養成した。 張錫純は,「衷中参西」(「衷中」つまり,中医学という確たる土台のもとに,「参西」すなわち西洋医学の学説・化学・薬物などを積極的に学んで有益なものを採用したという意味)を主張し,中西医学の結合に努めた。臨床医学の造詣が深く,治療効果も卓越しており,当時の「名医四大家」の一人にあげられ,張生甫・張山雷とともに「名医三張」とも称された。