花宝金・侯煒・鮑艶挙・劉瑞・平崎能郎 編著
A5判 並製 296頁
定価:本体3,800円+税
中医学の利点を日本のがん治療に活かす
編著者の平崎能郎医師は,中国中医科学院広安門病院に留学中,中医学によるがん治療の効果を目の当たりにし,その実態を日本に紹介することを思い立った。本書のもととなったのは,現代の名中医16人による症例報告集(『名中医経方時方治腫瘤』中国中医薬出版社)で,その中から,信頼性の高い87篇を厳選して掲載している。がんがあってもQOL(生活の質)を保ちながら長期生存した例や,腫瘍が縮小した例,治癒に至った例など,著効例の多さに驚かされる。それぞれの症例には,西洋医学的なデータや経過も記され,現代的な治療体系のなかでの中医学の役割と効果が明らかにされている。
医療制度が異なる日本では,さまざまな制約があり,そのまま応用するのは難しい面もある。しかし,各症例に加えられた平崎医師のコメントでは,診療のなかに中医学的な考え方を取り入れることの重要性が強調され,そのためのヒントが示されている。
【寺澤捷年氏(元日本東洋医学会会長) 推薦】
「本書における症例は,みな素晴らしく経過の良いものである。考察における中医学の理論は一部論理の空回りに傾き賛同しがたい点もあるが,概ね中国医学の利点を臨床に最大限に活かしたものであると言える。平崎君のコメントも日本の医師の視点から書かれており,本書を身近なものに感じさせる」(「推薦の序」より)
☞「推薦の序」の全文はこちら
■本書の特色■ |
◇ | 現代中国で行われている中西医結合治療の概要を紹介。 |
◇ | 16人の名中医による87の著効例を日本人医師の視点で分析。 |
◇ | 手術・放射線・化学療法の副作用を軽減し,治療効果を促進する。 |
◇ | QOLやADLが改善し,がんがあっても日常生活ができる。 |
◇ | 腫瘍の縮小・長期延命・治癒が期待できる。 |
◇ | 中薬の継続服用で,再発が防止できる。 |
◇ | 中医学の利点を日本のがん治療に活かす方法を模索。 |
◇ | 「抗がん生薬一覧」に,現代的な研究内容を記載。 |
◇ | 一般に知られていない中国の医療事情を紹介。 |
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【編著者略歴】
花 宝金 (か・ほうきん)
1964年 黒龍江省生まれ。
1986年 黒龍江中医薬大学卒業。医学博士。
1999年 中国中医科学院広安門病院腫瘍科。
現 在 同院副院長。中国中医科学院腫瘤研究所教授・副所長。
平崎 能郎(ひらさき・よしろう)
1971 年 兵庫県生まれ。
1997 年 東京大学医学部卒業。
1998 年 富山医科薬科大学(現・富山大学医学部)和漢診療部。
寺澤捷年氏に日本漢方を学ぶ。
1999 年 成田赤十字病院内科研修医。
2001 年 (株)麻生飯塚病院(現麻生グループ飯塚病院)漢方診療科。
2003 年 丹後ふるさと病院和漢診療科科長。
2006 年2~3月 北京中医薬大学留学。
2006 年 千葉大学大学院医学研究院和漢診療学講座。
2010 年 医学博士(免疫学)。
2011 年 同講座 特任助教。
2014 年 中国中医科学院広安門病院腫瘍科に博士研究員として勤務。
本書に登場する朴炳奎・孫桂芝・林洪生・花宝金の各氏に
中医オンコロジーを学ぶ。
2016 年 千葉大学大学院医学研究院和漢診療学講座 特任講師。
◆本文体裁見本
「2 肝胆がん」より
「7 血液がん」より
「抗がん生薬一覧」より
※「抗がん生薬一覧」に掲載されている生薬:
威霊仙・烏薬・黄耆・黄芩・王不留行・開金鎖・夏枯草・莪朮・九香虫・急性子・
姜黄・魚腥草・金蕎麦・金銭草・金銭白花蛇・苦参・渓黄草・鶏内金・蛤蚧・
牛黄・虎杖・蜈蚣・牛蒡子・山海螺・山慈菇・山豆根・三白草・山薬・三棱・紫根・
䗪虫・蛇莓・蛇六穀・臭牡丹・腫節風・真珠菜・水紅花子・青黛・石見穿・
石上柏・仙鶴草・全蝎・穿山甲・茜草・蟾皮・仙霊脾・川楝子・皂角刺・草河車・
蚤休・桑椹・鼠婦・大血藤・天竜・藤梨根・冬凌草・菟絲子・土茯苓・土鼈甲・
人参・敗醬草・白英・白鮮皮・巴戟天・馬歯莧・八月札・菝葜・白屈菜・馬尾連・
半枝蓮・半辺蓮・白花蛇舌草・白芨・白朮・茯苓・補骨脂・牡蛎・猫爪草・
無花果・木饅頭・薏苡仁・雷公藤・葎草・竜葵・凌霄花・緑蕚梅・霊芝・露蜂房・
路路通